キミはジオの胸ポケットの中で

眠りについた。


ジオは殻に閉じこもったまま

考えていた。



―ヴァネッサの言う通りだよな。

オレはミルに嫌われるのが嫌で

いい男、優しい男を必死に

演じていつからかミルに本当の

自分を見せなくなってた。

ミルが遠くなっていったって

感じたのはオレ自身がオレから

遠くなっていったから

なんだろうな。


―本当オレって馬鹿だよな。

ミルを幸せにすることなんて

はじめから無理だったんだ。

勇気のないオレにはミルは

高嶺の花だったんだ。


―オレとミルは不釣り合い

だったんだ。そう、初めから。

村を出てもう一年だ。

……いい加減忘れよう。

忘れなきゃこの苦しみからも

逃げられないし前に進めない。


―そう簡単に忘れられないから

1年もひきずってんだろ!

いっそのこと死んでしまいたい。

……死のうか。

死んだら楽になるかもしれない。