翌朝、共鳴者達は

エンジェル島に向けて出発した。


「ふふふ♪できた」


フランの横、トランクに腰掛け

作曲していたヴァネッサは

出来立ての楽譜を

満足そうに確認する。


「新しい曲?」


フランは問いかける。


下には馬に乗っている

ハーヴァルドと

歩いているジオの姿が。


「あの二人を見てたら

思いついたの。タイトルは

〝愛し合う二人〟」


ジオと彼の胸ポケットにいる

であろうキミを指さして言う。


「あなたもそう思う?」


フランはキミを哀れんで

ため息をついた。


「何?あんたもしかして

あの男のこと……」


ヴァネッサはフランの

男の趣味を疑い、顔をしかめた。


「違うわよ。失礼ね。

……ジオは、勇気を失った。

だから愛してる人にフラれる

事が怖くて自分からふったの。

まだミルっていう昔の恋人が

忘れられなくて、ああなのに

ジオのキミを見る目は

まるで恋人を見る目」


フランは真剣に言った。