「!ど、どうしたんだ?」


ジオはキミが泣きながら

飛んで来たのを見て、

驚きのあまり調理する

手をとめた。


『ヴァネッサがキミのこと

蛾って言った!

キミ、昨日ヴァネッサに

言ったこと反省して

仲良くしなきゃって

思ってたのに』


キミの小さい大きな瞳から

ポロポロと涙がこぼれ落ちた。


「気にするな。

お前はいい奴だって

わかってるから」


ジオはキミの頭を

優しく撫でて慰める。


そんな二人を見て、

フランは関係が壊れる前の

元婚約者ショーンと自分を

思い出していた。


(……あんなに愛しあって

いたのに)


昔の自分とショーンを

二人に重ね、フランはため息を

一つついて朝食作りに戻った。


「フランさん、

おはようございます。

僕にも何か手伝わせてください」


しばらくしてハーヴァルドが

やってきた。


「おはよう、ハーヴァルド。

同い年なんでしょ?

フランでいいわ」


「……え……あ……じゃあ、

フ、フラン」


ハーヴァルドは人生で初めて

人を呼び捨てで呼んだ。