「僕のことはハーヴァルドと

呼んでくださって結構です」


フランが自分の事を王子と

呼んだのを聞いて言った。


先程からずっと気になっていた

事だった。


フランはその言葉をきいて

少しほっとして頷いた。


フランも魔法使いということで

特別扱いされ、仲間にいれて

もらえなかったりした経験が

あったので、

これから旅をしていく中で

王子にだけ敬語を使うと王子が

疎外感を感じると思い、

敬語は使わないと宣言した。


しかし、実際のところ

どこまで親しみを

持って接すればいいのか

わからなかったのだ。


せめて王子と呼んで敬い、

身の回りの世話をするくらいは

民としての王子への礼儀だろう

と思い、接していた。


だが、それもハーヴァルドに

疎外感を感じさせた。


学校のクラスメート達と

魔法使いではなく

フランというただの人間として

友情を築けなかった

以前の自分と同じで。


「ハーヴァルド、紅茶を

もう一杯いかが?」


フランは会釈した。


「……はい。喜んで」


ハーヴァルドは面食らった顔を

したあと、会釈した。