「よくこの状況を楽しめますね」


ハーヴァルドは冷めた口調で

言った。


「日常ではなかなかないこと

だから私も少し楽しいわ。

何より妖精に会えたし、

言い伝えは本当だったって

実証できた。

あなたは楽しむ心を

なくしたんじゃない?」


フランはハーヴァルドを

まっすぐ見て言った。


ハーヴァルドはフランの瞳に

吸い込まれた。


「……そうかもしれません。

毎日同じ事の繰り返し。

外出はもちろん庭に出ること

さえも禁じられて……。

僕は自由になりたかった」


ハーヴァルドは噴水に

腰をおろし、空の星を

見上げながら呟いた。


「じゃあ、これから

楽しくなるんじゃない?

あなたは自由になったんだから」


フランも星空を見上げた。


「……自由!いいわね!

なんだか曲が浮かんできたわ。

早く家の中に入りましょう!」

ヴァネッサの提案に同意した

フランは二人の仲裁に入った。


『ジオ、ごめん。

キミ、言い過ぎたね』


「いいよ。お前の心がわかった

気がして嬉しい」


ジオの穏やかな笑顔にフランは

また違和感を感じた。