白馬に乗った金髪のその王子は

彼の国、タビデズアイシティ

より南東の

ヴィーナスフォロウシティを

走っていた。


丁寧には探さなかったが、

ダビデズアイシティは全土

人の気配がなく、

石像しかなかった。


彼は自分の国は諦めて、

隣の国に向かい、生存者を

探すことにしたのだった。



……ヴィーナスフォロウシティ
も石像ばかりだ。

世界は僕だけを残して石に

なってしまったんだろうか?

いや、きっと生存者はいる。



「誰か!誰かいませんか!」


ゆっくり馬を走らせながら叫ぶ。


もちろん返事はない。


それでも懸命に叫び続けた。


今、彼は亡き母に感謝している。


貧困層の生まれの母が

何事も経験だと

民に混じって色々な事を

させてくれたので彼には、

多少のサバイバル知識があった。


幼い頃の記憶を頼りに

釣りをして魚を釣り、

それを焼いて食べたり

木の実を採ったりして

彼は今日まで生き延びてきた。


申し訳ないと思いつつ、

民家などからチーズなどの

保存食を拝借したり

王子のプライドは捨てていた。