「あ…お前…。」

オレは女を見た。


女は少し疲れた顔をしていた。多分、鬼となったサキとの戦いによる緊張疲れだろう。


しかし驚くことに、意識がなくなったサキと戦った女には大した傷跡は見当たらなかった。



オレの意識がなかった時、一体何が起こったのだろう。




意識がない…つまり鬼にオレの体が支配されている時は、オレを気絶させるか殺すかしないと鬼の暴走は止まらない。


その鬼を気絶させるにしたって、かなりの労力を必要とするはず。

鬼に苦戦していた女にそんな力が残っているようには見えない。



じゃあ一体誰が…?




オレがその問いを口にしようとした時、微かにうめき声が聞こえた。

そちらに目を向けると答えは一目瞭然だった。




「ハァ……ハァ……。」

眉間に皺を寄せた険しい顔で、地面に仰向けになっている男の姿があった。



「まさか…。」

一瞬で事態が把握出来たオレがそう呟くと、シュウがニヤリと笑って、


「そ!お前がやったってわけ。」

と苦しそうに呻く男の方に顔を向けた。
そして話を続けた。


「意識がなくなったお前は近くにいた彼女を真っ先に攻撃しようとした。
けど、それを庇ってそこの彼がお前の攻撃を受けた。ま、見ての通り死んじゃいないさ。

認めたくないが、オレが苦戦した奴を一撃でノックアウトするんだから、大した奴だよ。」

と言ってシュウは肩を竦めた。