「何…ッ?いない!?」



いや、確かに奴は走り抜けたはず。

辺りを見渡すが男の姿はない。



遠くでサキと女が戦っている。
女が使う風の力にサキも苦戦しているように見える。




すると、


「こっちだ。」


という声とともに強烈なパンチがシュウの頭を直撃した。




「ぐ…っ!」


男はいつの間にかシュウの背後にいた。

さっき見た時はいなかったのに…。




「何驚いてんだよ。本業だって言っただろ。」

男はうずくまるシュウを見下ろしていた。その表情には嘲笑の色が見えた。




「…ンの野郎……!」


シュウはこうも簡単に自分の背後に回られたのが許せなかった。



シュウは今までサキとの組み手以外に他人に背後を取られたことがなかったため、それなりにスピードを見切る自信があったのだ。

自信があるが故、敵に倒されたことはシュウのプライドを傷つけた。



しかし−……



「…効かねぇな……。そんなへなちょこパンチ。」


「なんだと…?」

男の眉毛がピクッと動いた。


「ぬるいんだよ。オレがじいちゃん直伝の武術を、てめぇに教えてやるよ!」




逆にシュウの闘争意欲を湧かせることになった。