「はぁ?本番…ってことは今まで手加減してたわけか?」
「アンタの力量を確かめていただけだ。アンタそこそこやるみたいだな。」
「そこそこねぇ〜……そりゃ、どうも。」
シュウは男の言葉が若干気に障ったが、それを軽く受け流した。
こんな挑発に乗ったって、何の得にもならないからだ。
今までは刀対拳での戦いだったが、これからは拳対拳の戦いになる。
正直言ってシュウは拳同士の戦いなら負ける気がしなかった。
というのは、サキとシュウは今まで拳一つでの戦いをしてきたからだ。
小さい頃から武器を使わない己のみでの戦いを教えられてきた。
そのため、拳は自分のプライドでもある。
こんな奴に負けてたまるか。
「刀の方が攻撃力が高いわけだし、素手じゃなくてそっちの方がいいんじゃないか?」
「な〜に、刀はただのお遊び程度に持ってただけだ。こっちが本業だ。」
男はそう言いながら拳をクルクルと回した。
「ふ〜ん、まぁお前がそれでいいんなら別にいいけど、…手加減はしないからな。」
何が本業だ。ふざけた野郎だ。
落ち着いた口調で話すものの、シュウの心の中では沸々と戦闘意欲が湧いていた。
「その言葉そのままアンタに返してやるよ。」
そう言い残し、男が身を屈めシュウの方に走りだした。

