「――わかった。やってやるよ。矢柴、絶対におまえには勝たせない」 傍で見ているだけでもわかるくらい、固く拳を握り締める時任君。 怒りをそうやって落ち着けてるんだろう。そのままぶつけたって慎吾には何も響きやしないって、わかってるから。 「じゃあ、決まりだ。 波月、悪いけどちょっと待っててな」