とある霊能力者の仕事

わたしは家に帰ると、彼女のことを母に話しました。

すると母は慎重な面持ちで頷きます。

「彼女の言う通り、余計なことはしない方がいい」

「そう…なの?」

「アンタやアタシじゃ手に余る、そう思うんだろう?」

「うっうん…」

わたしや母の2人でも、きっと彼女が背負っているモノには勝てないでしょう。

「呪術師が己の血に取り込んだモノって言うのはね。取り付いた人に重い運命を背負わせる代わりに、その人物の願いを叶える。まさに命と引き換え、だね」

彼女の先祖は、身を守る術としてあのモノを飼うことを選んだのでしょうが……。

それでも納得できない自分がいます。

「アレは彼女だけを犠牲に、成長しているとは思えなかったんだけど…」