街を歩いていると、トンボを見かけるようになった。 もうすぐ夏が去り、秋がやって来るんだと実感する。 あの人に頼まれたお使いを終え、鍵を開けようとした時、違和感を感じた。 ドアの取っ手を握り、引くと、開いた。 おかしい。鍵をして出掛けたはずだ。 あの人は仕事があるからこんな真昼間からいない。 じゃあ、誰だ? 僕は音を立てないよう、慎重に家へ入った。