「みんな夏休みは帰る家あるのに、私にはないからさ…」


「そういう子のために施設旅行があるんじゃない」


このババア…。


一回りも離れていないさっちゃんをババアと思ってしまうほど、譲らない。


「旅行って言ったって、結局施設の職員と行くからいつもと変わらないもん。…こんな所にいなきゃ、経験できることなのに…。親に捨てられて他の子より傷ついてるのに、何で自由さすら奪われなきゃならないの?」


さっちゃんは戸惑った表情で目を泳がす。


よしっ、あと一押し!!


「児童福祉法…」


「え!?」


泳いでいた目が開いて私に向いた。