別れの曲を君に(短編)


学校に赴任してすぐに耳にした、『バレンタインの少女の霊』の話。


2月14日。


毎年、この日に現れ、学校の中を彷徨い歩くという女生徒の霊。


すぐに、綾だと直感した。


でも、良平には霊感など皆無だった。


だから毎年、こうして音楽室であの頃綾に良く聞かせていた『別れの曲』を弾きながら、ずっと願っていたのだ。


どうか、どうか自分の前に現れてくれ、と。


そして今日、彼女は現れた。


あの頃のままの、愛しい姿で――。