別れの曲を君に(短編)


綾は何故自分がここに来たのか、初めて理解した。


幼い頃から少しずつ育まれてきた、1つの想い。


心の奥の1番柔らかい場所に息づいていた『この想い』を、伝えたいから。


あなたに、


伝えたかったから。


「ありがとう、良平……」


待っていてくれたんだね。


ここで、ずっと私を待っていてくれたんだね。


私。


あなたと、一緒に居たかった。


手を繋ぎ。


キスをして。


そして、いつか結ばれる。


そんな幸せな未来を夢に見ていた。


ちょっと照れ屋な所も、ぶっきらぼうな所も、優しい所も、ピアノを弾く綺麗な指も、全部。


「私、あなたが、大好きだったよ」


それは、告白。


時を超えた、決して叶うことのない、哀しい愛の告白。