訳有彼氏


 三階の一番端の教室。鴉孤の顔が見えた。

 嬉しくて弾むのは、声だけじゃない。

 「から…」

 果たして空と呼んでいいものか。

 答えは当然NOだ。ゴホンと咳払いをし、鴉孤と頭で復唱する。

 「あこ!あこ、あこ、あこ、あーこー。あーこ!」

 
 呼び捲くると、頭を掴まれた。

 教室の端の席に座ってたはずなのに…早かったな。等と頭の隅で思う。