訳有彼氏


 鴉孤が居なければ楽しくない、

 そう感じるようになったのは一体何時からだっただろうか。

 物心つく前から一緒にいた。傍にいることが当たり前だと思っていた。

 今だって、離れることなど考えられない。

 だけど、いつか、離れなければならない時が来る。それは、何時だろう。

 鴉孤に彼女が出来た時?

 私に彼氏が出来た時?

 私の場合はないな。鴉孤と時が一番楽しいし。

 だけど鴉孤はどうだろう。

 好きな子いるのかな?

 どうなんだろう。
そういう話はしないし、てか、ここ数日空としか話してないし。

 やり場のない怒りを感じ、終業のチャイムと同時に廊下を猛進した。

 全力疾走は苦手なのに、

 今は風になったのかと思うほど早く走れている気がする。

 まぁ、気がするだけだろうけど。

 中等部の校舎とは渡り廊下一本で繋がっている。

 そこを走りぬけ、鴉孤のいる教室へと向かう。

 本当は行き交いすることは禁止だし、制服でばれるけど、
 
 誰にも私は止められないぜ★とか思って見る。