訳有彼氏

 
 「何処行くの?」

 「学校に決まってるだろ。」

 「あー…やっぱり?」

 「早くしろ。」

 空は早足で私の部屋から出て行った。

 起こさなくてもいいのに。寝坊したらサボる口実が出来たのに…
 
 まぁそんな考えの私を知っての行動だろう。

 もそもそと制服に着替え、鞄を持って階段を下りると、香ばしくない香りが漂ってきた。

 あー…焦がしてるな。

 「んぎゃ!孝太(こうた)!孝太!焦がしてる!」

 んぎゃって何だよ(笑)きっとお姉の声だ。キッチンでお姉の姿を確認し笑ってしまった。

 玉子焼きを焦がしたのは里美さんの夫望月 孝太(もちづき こうた)さんだ。

 それにしてもお姉。色気のない悲鳴だな(笑)