二人は湯気の中に倒れた夜子を見た。





「夜子?!しっかりして!」





「あ~ぁ…。」





「ちょっと!桜子手を貸して。」





「のびてるだけですわよ。」





******





ほんの三分前…。





桜子は浴槽にいた。





夢子がちゃぷんと入り体をほぐそうとした瞬間。




ブクブク…。ガバ!





バラの花びらまみれのメイドが現れた。





「きゃー!」





バラまみれで抱きつかれて…。





そこへ夜子が駆けつけ…。鼻血ぶー…。






「こういうこと…。」





「まったく、何をしてるのかあの化猫…。」





「今は夜子の世話してくれてるから許してあげて…。」





モノクルを取りながら…。
「どうでもいい。夢子が無事なら…。」





そのまま光る。
実体に変わる。






「どうしたの?」





「…。別に。」





頬に触れる。





「仁?」





抱きしめる仁は…。





「しばらくこのまま…。」





黙ってうなずく。
何故か涙が流れ落ちる。
私は…弱い。





「ありがとう。」





桜子も感じてきっとさっききたのだと思った。
盾と矛の力を私は…まだ制御できていない。
司達の長として恥じている。





隠していても仁は鋭く感じている。





「守護霊様…。しばらく側にいて。」





ニヤリッと笑う。
「かしこまりました夢子様…。」





ぷうと頬を膨らます。





「やり直し。」





「夢子の側にいる。覚悟はいいか?」





「いいよ。」






「夢子こっちに来い。」




言ったのはそっちなのに私の方へ倒れ込む。





「今日は寝せない。」





「どうせ今日は寝れない。」





「じゃあ目を閉じてろ。」




「んっ…。」





むさぼる彼は…。守護霊様…。私は…ただの夢子。
体が熱を帯びる。






それは一時の夢…。