【5】隣人の森

 夜が明けた。
 私の体に侵入した蔦のお陰で、空腹感も渇きもない。
 ただ身動きが取れず、目の前の景色を眺めるしかなかった。

 その時である。
 獣の唸り声が背後から聞こえた。
 犬だ。
 大きな黒い犬が一匹、私の周りを徘徊した。