【5】隣人の森

 暦を忘れたある日、私はくしゃみの弾みに、蔦が反応することに気付いた。
 試しに腹筋を使ってみたり、肛門に力を貯めた。体に残る動かせる部分を使って、蔦が動く事を発見した。

 私は長い月日を掛けて、いつしか自分で蔦を動かせるようになった。
 思い通りに動かせることになって、喜びにも似た満足感が沸き上がった。

 私は血の通った新たな手足を得たのだ。

 早速、私は体全体を蔦で覆い、再び獣に襲われないよう木の中に身を隠した。