「これは…。葵様、シルバー様をお呼びくださいませ。」


「んなこと言われなくてもいるわよ。」


びっくりしてドアの方を見ると、そこには腕を組み壁にもたれ掛かったシルバーがいた。


「理央が私に目で合図してきた。理央がなんとか纏めてくれたわよ。ペアを変えてもいいけど表彰式は明日のお楽しみと致します…ってね。だからパーティはお開き。今日はさっさと帰らすわ。」


シルバーは私に近づいてきた。


「で、ジャック。怪我の方はどうなのよ?わかりやすく説明してちょうだい。」


「はい。足や体が痺れるとおっしゃっていたので、足から確認したところ足に2cmほどの針が発見されました。おそらく針に麻痺を伴うような薬が塗られていたと思われます。

足だけではなく、体もしびれるとおっしゃったので薬の効果はとても早く効いてしまうし、効果も強いものだと思われます。これぐらいになると....おそらく薬局や病院とかではないと取り扱っておりませんね....。」


「麻痺ですって....?ユリさん、よく耐えたわね....。」


シルバーは私を抱きしめ、背中を撫でてくれた。


なんだろう?


この感じ知ってる....。


遠い遠い昔....懐かしく感じさせる。


「シルバー様。明日はどうなさるおつもりですか?」


「皆に言わないで。明日は20年ぶりにご来賓くださる方がいるの。だからあなたたち2人は出来れば出てほしいのよ....。私の都合で振り回してしまって申し訳ないのだけど...。」


「私より、真理亜さんは?噂に聞くとすごいそうで。」


「真理亜か.....。ジャック、真理亜の調子は?」


「最近は良好ですが....。過労やストレスのため、歩くのは少し無理かと。」


「ジャック....ってあなた真理亜さんの執事!?」


「申し遅れました。私、真理亜様の執事を務めるジャックでございます。」


「姿はめったに見ないって言われてたよな....?」


これには葵はびっくり。


でもジャックが来た時点で正体はわかっていたみたいだけど。


「真理亜様は体調が最近優れないご様子。私が医者も務めております。」


兼任してるってすごいな。