スッと私は葵の腕に閉じ込められた...。


私を葵が抱き締める態勢。


なんか最近こんなことが多いような....。


「あ....葵?」


腕の中は不思議と暖かいんだ。


彼女とかではないから居ちゃいけないのにいたくなってしまう。


「あっゴメンな、急につい...。」


私を離した。


私はとっさに葵のブレザーの裾を掴んだ。


「ゴメン葵。もっかい腕を貸して...。」


自分でも言ったことに驚いた。


少し上を見上げると葵が一瞬目を見開いて、でもすぐにクスッと笑った。


「どうぞ、お構いなく。お姫様。」


すごく居心地がよくて。


離れたくない....。





「...ったく鈍感か?」


何か葵が呟いたけど気に止めなかった。


「ユリ?どうした?」


私の顔にスッと腕を伸ばしてきた。


え?


私、泣いてたの....?


なんか私って葵と会ってから涙腺が脆くなったような気がする。


人前で泣くことを知らなかったせいなのかな...。


「あ、ゴメン!制服濡らしちゃった...。」


「大丈夫それくらい。気にすんなって。」


それから長居してしまった学園長室から急いで出て寮に戻り、早速準備に取りかかった。


あと、1ヶ月半もないからね...。


学園長室での出来事は誰にも秘密にしておこう....。