そんな事もあって、始まって1時間かそこらで私は帰りたくなってしまった。


神林君に目をやると、両サイドを女性陣に挟まれて何やら楽しそうに会話をしていた。


私の視線に気付いたのか、神林君が私を見たので、咄嗟に“帰りたくなっちゃった”と私は彼に念を送った。


それから少しして、私はバッグを手に持つと、トイレに行くような軽い素振りで席を離れた。


神林君は私の“念”を受け取ってくれたかしら……


少しだけ待ってみて、もし彼が来なければ一人で帰ろうと思い、居酒屋の出入り口近くで待っていると、すぐに神林君がやって来た。