次の日、私は重い足を引きずるようにして会社へ行った。


祐樹に会うのは気まずい。出来ればすぐにでも、田舎に逃げ帰りたかった。


でも、社会人として、人に迷惑を掛けるわけには行かない。最低限のけじめは、つけなければ。


昨日、あの後私は田舎の母に電話をした。
私が“戻りたい”と言うと、母は何も聞かずに“いいよ、戻っておいで”と言ってくれた。


アパートの管理人さんにも連絡した。引き払う事と、そのための業者さんの手配をお願いするために。


会社に出す辞表も書いた。

退職理由は“一身上の都合”。
退職日は、就業規則に則り1ヶ月後だけど、5日で身辺整理して後は年休消化を充てるつもり。


つまり、5日間の辛抱だ。祐樹を見られるのも、あと5日間だけ……