でも、そうじゃないとすぐに分かった。


「あ、爺や」


と祐樹が言ったから。


「お坊ちゃま、呼び鈴を鳴らしてくださればお出迎えしたのに……」


「ごめん、ごめん。志穂さん、この人はずっと家の事をしてくれてる爺やです」


「あ、はじめまして。谷崎志穂と申します」


「ようこそいらっしゃいました。わたくしは祐樹お坊ちゃんがお生まれになる前から、こちらで執事をやらせていただいております」


うわあ、執事さんなんだ……。リアルで執事さんに会ったのって、初めてだなあ。


「爺や、どの部屋に行けばいいか分かる?」


「もちろん承っておりますよ。こちらです」


祐樹と私は執事さんの後に付いて行った。


私は緊張で、絨毯に足を取られそうになりながら歩いて行った。