「ねえ、祐樹は普段黒い服を着てるの?」


「はい、今は黒が多いですね」


「ごめんね、うちでは白っぽいのばかり着せちゃって……」


私は祐樹には白が似合うと思ってたから、Tシャツとかスウェットとか、祐樹が着る物は何でも、白いのばかりを買っていた。


「そんな、気にしないでくださいよ。白も嫌いじゃないし、全然オッケーです」


「今度から黒いのにするね?」


「はあ、すみません。俺が黒い服にはまったのは、ローマに行って以来なんですよね……」


「ローマ?」


「はい。大学の卒業旅行で友人達と行ったんですが、向こうの若者はみんな黒を着てたんですよ。いいなあと思って真似したら、はまっちゃいました」


「へー、そうなんだあ」


「ローマは良かったなあ。丸ごと全部が世界遺産って感じで、壮大だったなあ……」