愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜

私は手を伸ばして祐樹の黒い携帯を掴むと、それで祐樹の頭をコンと叩いた。


「痛っえ……」


と言いながら、祐樹は恨めしそうに顔を上げた。


「ほら、携帯に何か来てるわよ?」


「あ、そうですか。でも殴らなくても……」


「ごめんなさい。痛かった?」


「痛かったです」


祐樹は右手で頭を摩りながら、左手で携帯を持つとパカッとそれを開いた。


私はさっきのお返しに、祐樹の胸板に指を這わせ、悪戯してあげた。


くすぐったそうに「うっ」とか声を漏らす祐樹だったけど、携帯を見て、「あっ」と言った。そして、


「おやじさんからメールだ……」


と呟いたので、私は祐樹に悪戯する手を止めた。


「お父様から?」


「うん」


「何て?」


「明日の午後、志穂さんに会うって……」


「えっ?」


その瞬間、眠気も、甘い感覚も、一遍に吹き飛んでしまった。