愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜

「それにしてもあんた、すっかり普通の恋する乙女じゃん」


「え?」


「ついこの間まで、“私は男女の愛なんて信じない”なんて言って、“男なんかもう懲り懲り”って顔してた女とは思えないわ」


あ、ほんとだ……

私、何やってんだろう。また同じ事の繰り返し?


でも……


「祐樹は今までの男と違うと思うから……」


「うん、それでいいんじゃない? あの子はいい子だもん。今度は志穂も幸せになれるよ、きっと」


「そ、そうかな?」


「きっとね。ああ、志穂が羨ましい……。どうして神林君は、流通に来なかったんだろう」


「流通にはいないの? キュートな男の子」


「いないわよ。神林君ほどの子はそうはいないのよ? 志穂は超ラッキーなんだからね!」


「はい、すみません」


とか言って、加奈子と二人で顔を見合わせ、うふふと笑った。そんな風に笑ったのは、ずいぶん久しぶりな気がした。