割り切りの恋人たち【前編】

 その間に弘美はベッドに向かった。
 俺は歯磨きを終えベッドに向かう。
 弘美は布団をかけて瞳を閉じていた。
 俺は彼女の右隣に入る。
 弘美は瞳を閉じたまま動かない。
 まさに無抵抗の状態だった。
 俺は弘美の唇にそっと口付けをした。
 そしたら弘美の右目から一筋の涙が、頬を伝いこぼれおちていく。
 俺はその流れていく一筋の涙をみていた。
 ブラックライトで暗がりだが、その涙はあの頃と何も変わってなかった。
 ふたりはこの時を満喫した。
 裸で抱き合う。
 あの時と同じ匂い。
 そしてあの時と同じ感触。
 そう、ふたりが結婚を誓い合った、あの時と……。