あたし、
田口葵は明日から村西葵になる。

なんだかこの日の授業はうわの空で、
ちっとも身が入らない。

と、いってもあたし、勉強はとってもできる。

県下、No.1の進学校に入り、特進クラスにいる。

思えば、
いい学校に入れば、大学教授のパパが戻ってきてくれるかもとの一心で、がんばった結果。


入学したときパパは
あたしをホテルのディナーに連れて言ってくれた。

この制服を自慢げに見せたら、
パパはよくがんばったなって言って、

万年筆をくれた。


あたしは
万年筆を使い道がわからず、筆入れに放っておいた。


けれど、
見るたびパパを思い出す。