「はいはい。冗談はやめてね」



冗談を言う末来を全力でスルーして、自転車の籠に入った鞄を持ち、校舎の方に向かう。それに慌てて末来は付いてきた。



「冗談じゃないのにー」



ぷぅーと膨らませる顔も可愛い。どれだけ、完璧なんだー!!末来って自慢の親友だけど、やっぱり、その美貌が羨ましい。



「ほら、琉乃への熱ーい視線を感じるよー?」



末来は周りを見ながら茶化す。でも、あたしには末来への熱い視線としか思えない。



「それ、未来に向けてだよ」



「そりゃ、あたしは可愛いからー。って違うよ!琉乃の方が可愛いの!」



あたしの事、可愛いって言う前に自分が可愛いっていたよね?その時点で説得力無いんですけど......



「末来は可愛いけど、あたしは論外」



「そんな否定的になっちゃダメだよ。琉乃可愛いんだからー。尤、自信を持て!」



さっきの一言で全部、フォローにしか聞こえないのはあたしだけだろうか。



漸く、校舎の前についてクラス分けの紙を見る。



えーっと、あたしは.......



末来がトントンと肩を叩く。



「何?」



振り返ると、其処には満面の笑みの未来がいた。



「あたし達同じクラスだよ!5組だって!」



「本当!?やったー!」



あたしは抱き合って喜んだ。