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「……ま、……コさまっ、リコさまっ!」





「!」





呼び掛けられる声に驚いて後ろを振り向けば数人のお嬢様たちが心配そうに見ていた。







げ、まさかのボーッとしてた感じか!




また、やっちったよ!
こりゃいかん。






「だ、大丈夫よ、少し考え事をしていただけだわ。さあ、皆さん席にお着きになって。」






なんとか満面の笑顔をつくってこの場を回避する。皆は私の言葉を信じたのか、チラチラとこちらを見ながらも席に戻っていく。








た、単純で助かったあ…。




あ、いい意味でね。







春のほんわかした風を感じながら窓の外に視線を動かせば淡いピンク色の桜が緩く揺れていた。そして、昨日の涼兄との会話を思い出してみる。











『とりあえず、ソイツらに合わせとけ』




ただその一言だけだった。









………。



もうすんごいシンプル。ざっくりしすぎて逆に凄い。国語でいう「簡潔にまとめよ」の問題だったら花丸だよ、むしろパーフェクトだよ。お陰で、なんか吹っ飛んだよ。













……って、違くね?

明らかにおかしいよね?





涼兄だったらまともなアドバイスをくれると思ったらまさかのクレイジー発言だよ、おい。でもまあ、言われてみれば事を荒立てない為には一番の方法かもしれない。




しかし、あのボーイズ達は何を考えているかわからない。ま、様子見ってとこですかね。案外、こっちのことはもう調べ済みだったりして。







やれやれ、大変だ






空を見上げれば、雲ひとつない。快晴ってやつだ。でも、綺麗すぎてなんか落ち着かないのは私だけ?




んー、やっぱり少しぐらい雲があったほうがしっくりくるじゃん。ホラ、よくあの雲は○○に似てるって言って遊んでた気がする。たまにたい焼きに似た雲を見つけると……。









あ、たい焼き食べたい。




なんか食べたくなってきた。





いや、あのフォルムは最高だよ。まさに鯛だよ。ふわふわした生地の中にあんこが入っててさ、頭から食べるか尾から食べるか、よく烈兄と争ってたなあ…。私は頭派だけど。





「ああ、あのいい焼き加減に美しいフォルム。いいよ、フフフ」




「あんたまた変な妄想してるでしょ。言っとくけどココ学校よ」



あら、小百合。





「もー食べたいからってそんなに見つめないでよ、さゆりん」




「……」






え?冗談のつもりだったんだけど…。あ、なんか痛い小百合からの視線が痛い。鋭すぎてそのうち穴あきそうなんだけど。





ダメだ、これ以上続けたら殺される。確実に地獄の果て行きだ。案内人に舌を抜かれるぞ。