真剣な顔をしながら聞いてくる烈兄に呆れながらも「いないよ」って笑顔で言うのがお決まり。





これがまあ、長いこと続くからこっちとしてはかなり疲れる。





っていうか、めんどい。






でも烈兄の事は好きだからそこまで嫌ではない。






……こりゃあ、どっちもどっちだな。









「っていうか烈兄、苦しい。はなしてー!」






再び抱きつかれて、そのままだったから私はギブ状態。






「お、悪い悪い」







悪いじゃないっつーの!




もう、と言いながらくしゃくしゃになった制服を直し、離した烈兄を見上げる。





烈兄は背が高くて、182㎝もあるから見上げなければならない。そのせいでいつも首が痛くなるんだよね。




私は162㎝だから20㎝も差がある。





まったく、デカ過ぎるんだよね。




まあ、烈兄は容姿から性格までかなり父さんの血を受け継いでるからなあ。




原因は父さんだな。




しばらく見つめてると、烈兄はコテンと首を右に傾けて「?」を頭に浮かべている。








くそ、可愛いな…。



なんかムカつく。





ぷくーと頬を膨らませていると、ごめんごめんと困った顔をしながら大きな手で私の頭を優しく撫でる烈兄。






これもお決まり。





ほんと、優しいんだよね。




だから私も怒れないんだよなあ。