【完】そばにいるだけで

その時。



突然、後ろから思いきり腕をつかまれた。



そして、ぐいっと振り向かされると、そこには桐生くんが立っていた。



どうして桐生くんがそこに立っているのか理解ができなくて、わたしは彼の目をちらりと見て、地面に視線を落とした。



一瞬だけ見た彼の顔は、とても困惑しているようで、眉間にしわを寄せていた。



桐生くんはわたしの両腕を握ったまま、肩で息をして何も語らない。