【完】そばにいるだけで




ようやく注文が収まり、桐生くんがクラスに戻ってきた。



桐生くんは、わたしと瑞希のいる受付にやってきて、



「あとどれだけ残ってる?」



と少し疲れた様子で尋ねてきた。



「あと3人だね。だけど他の男子が行ってくれてるから、もう大丈夫かな」



すると桐生くんは、ふぅ、と深呼吸して、



「ああ、よかった。さすがにちょっと疲れたかな」



と言って少し笑顔を見せた。



どきっとした。



その笑顔はまぎれもなく、わたしに向けられたものだったから。



「お疲れさま」



わたしがそう言うと、桐生くんは「ありがとう」と言って、ほんの少し微笑んだ。



そして、わたしは深呼吸して切り出した。