【完】そばにいるだけで




受付にいると、誰が誰のことを好きなのかがわかる。



もちろん代理を使って頼みに来る子もいるけれど。



そして、ターゲットが被っていることもわかってしまう。



「○○先輩、モテモテだね。あの子、ライバルいっぱいいるよ」



なんてことを、瑞希とこそこそ話していた。



そしてそれは、他人事ではなかった。



桐生くんを撮ってきてほしいという注文も、二件入っていたからだ。



もちろん何食わぬ顔で、「わかりました」と言ったけれど、心中穏やかではなかった。



桐生くんはやっぱりもてるんだ、ということを実感させられた。



そして、自分にはほとんど勝算がないような気がした。