昼休み、わたしは3号棟校舎の階段を上っていた。 この校舎の4階に、今はほとんど使われていない無線室という部屋がある。 屋上で過ごすにはあまりに寒いので、最近よくここに来ていた。 少し埃っぽいにおいがするけれど、冬場は特に日当たりもよく、誰もやってこないこの空間は、わたしのお気に入りだった。 いつもどおり無線室の扉をそっと開けると、パイプ椅子に座って空を眺めていた桐生くんは、ちらりとこちらに顔を向けた。 「いらっしゃい」 桐生くんはこの部屋の主のようにわたしを招き入れた。