【完】そばにいるだけで




確かに、三郷さんには、前々からいろんな噂が流れていた。



誰とでも寝るだとか、援交してるとか、挙句の果てには風俗で働いてる、とか。



あまりに突拍子もないので噂話なんて信用していなかったけれど、昨日の光景を思い出すと、ひょっとしたらそうかも、と思ってしまう。



「どうしたの聖菜。黙り込んじゃって」



瑞希の声にはっとする。



「う、ううん。なんでもない」



とっさに首を横に振っていた。



あの日目撃したことは、言ってはいけない気がした。