バレンタインデーを控えた2月の街は、ハートで溢れていた。 二人で立ち寄った雑貨屋さんも、赤やピンクで装飾されている。 「このキーホルダー、かわいいなぁ」 大きなハートを抱えたクマのキーホルダーを手に取って眺めていると。 「かわいいね」 そう言って、桐生くんはわたしに顔を寄せた。 桐生くんの顔が近いだけで、どきどきする。 何気ないことがとても嬉しくて、幸せ。 二人で街を歩いているだけで、満たされる。