放課後。 わたしは、帰ろうとしていた桐生くんに声をかけた。 「桐生くん」 桐生くんは静かに振り返った。 目が合う。 どきっとしたけれど、わたしは目をそらさなかった。 「ちょっとだけ、いい?」 そう言うと桐生くんは、うん、とうなずいた。 わたしたちは屋上へ上がっていった。 12月とは思えないような、やわらかい空気だった。 わたしは桐生くんを振り返り、彼を見つめた。