席を譲った桐生くんは、扉にもたれかかって立っていた。 涼しげな目は、少し気だるそうに窓の外に向けられている。 ついさっきあんな格好いいことをさらりとして、何事もなかったようにしている彼がたまらなく格好よく見えた。 わたしの鼓動は、ひっそりと早くなっていた。