「草壁さん!新しい彼氏、できたの!?」



城山さんの言っている意味がわからなかったわたしは、小首を傾げてまぬけな顔をしていると、



「土曜日、ピアノのレッスンの帰りに見かけたんだよねぇ。公園で草壁さんが男の人の胸の中で泣いてるとこ」



それを聞いて、わたしの体は一瞬にして凍りついた。



昴先輩といたところ、見られてたんだ!



「それは違う」と言おうとしたわたしを遮り、



「なんか、いい雰囲気だったな」



と言って、わたしに笑顔を向ける。



その笑顔に、わたしは悪意を感じた。