【完】そばにいるだけで




「草壁!」



突然後ろから名前を呼ばれ、びくっとした。



ゆっくり振り返ると、そこにいたのは店員姿の昴先輩だった。



「先輩にぶつかっておいて、目も合わさないなんて、失礼だな」



そう言って、昴先輩はにんまり笑った。



「あ。ご、ごめんなさい」



深々と頭を下げると、昴先輩は、



「ああ、うそうそ、冗談。そんな固くなるなよ」



と言って、わたしの頭にぽんと手を乗せた。



その時。