風薫る




そう言って笑う彼女は、すごく……すごく、綺麗で儚い桜のようだった。


「俺、宮部 薫。君は?」

「水城 凜。私、会津藩士なの」


その言葉に目を見開く。

まだ子供で女の子なのに、もう命のやり取りをしているのか、と。


「俺は親戚の宿屋を手伝ってるんだけど……」

「けど?」


首を傾げる凜に、俺は微笑んだ。


「会津藩士になりたい」


君の笑顔を守りたい。

君の、傍で。


「じゃあ、松平様に言ってあげる」

「うん。明日、行くよ」


凜と別れて、俺は宿屋に帰った。

親戚に話せば、複雑な表情で……でも、喜んでくれた。


もし会津藩士になれば、今よりもっと給料が貰える。

実家にいる母上の為にも、その方がいいんだ。

俺は荷物を纏め、翌日、宿屋を出た。