風薫る




咄嗟に、女の子の手を掴んでいた。

俺も、勿論女の子も驚いている。

でも彼女は直ぐに顔をしかめ、振り払った。


「何」


ただ一言、鈴のように可憐な声でそう言った。

俺自身何で引き止めたのか分からない訳で、暫く口を閉ざす。

だが、俺の口は勝手に動いた。


「君強そうだし、俺と手合わせしない?」


何で手合わせしようとか言ってるんだよ。

心の中で自分に突っ込んでいると、彼女は意外にも反応を見せた。


「いいわよ。でも、私強いから」


強気な発言。

でも、目は冷たくなかった。


俺は嬉しくなって口角を上げ、落ちていた木の棒を二本手に取る。

一つを彼女に投げると、彼女は難なく受け取った。


「怪我しても知らないわよ」


彼女はそう言うと構えを取った。

見た事のない構えだ。

彼女が余りに強気だから、本気で剣の腕が気になる。