優しい涙

ハンカチをなかなか受け取らない僕に藤波様は

『挨拶が出来なかったんだな?この屋敷の者は礼儀にうるさいからね』

そう言って僕の頬にハンカチをそっとあてた。


ふわりとした、やわらかな感触が頬をなでる。

気のせいかな…

なんだか、いい匂いもする。

母さんみたいだ…


懐かしい感覚にとろりとまぶたが重くなる。

その瞬間

『す、すみません!!』

僕はハッと我に返り、あわててハンカチを押しのけた。