【短編涼話】 十物語

『そうとも。俺は一応神だからな。冥府に旅立っていない魂を戻すことくらい、造作もない。その代わり。』

僕はツゥと背中に滴る汗を感じながら身構えた。

婆ちゃんを抱える手に力がこもる。

「その代わり、何だ。」

ニィッと赤い口が開いた。

『倍の魂がいる。』

僕がこぶしを握り締めた瞬間、鬼は付け足すように言った。

『今朝五つ分はもらったから、全員を生き返らすとしたら後五人分だな。その婆を元に戻すには、付けたし一人分。どうだ?』

何を言うんだ、この鬼は。

「何が神だ・・お前のやってることは魔物そのものじゃないか!」