【短編涼話】 十物語

「なん・・で・・、このっ・・お前っ!」

鬼は銀の髪を振り乱して哂った。

『これだから人間は愚かだというんだ。お前は勝手な思い込みをしてただけだ。自分勝手・・あいつらにも言われなかったか?自己中で嫌な奴だと。』

硬くなった父親と母親の体に、両手を伸ばす。

『残念だな、人間。お前はもう誰にも愛されないぞ?』

僕ははっとして辺りを見回した。

婆ちゃんがいない。

『探してるのは、コレか?』

ガラリと続き間のふすまが開き、僕は叫んだ。

すべる床に何度も足を取られながら、僕は婆ちゃんに飛びついた。