【短編涼話】 十物語

「ねーねーねー、3組の奴ら、一度に5人も死んだって本当?」

靴箱の前で僕は固まった。

「朝、布団の中で死んでたらしいよ。」

「何で?!病気?!」

「分かんないけど、先生達が集まってた。」

僕の膝が震える。

教室に入って、不安は的中した。

二十数名の教室で、ぽかりと空いた空間は、僕を虐めた奴らのものだった。

担任は、突然死の原因を追求するため連れていかれた。

代わりに教頭がやってきて、昼まで授業の後、一斉帰宅することとなった。

僕はカタカタ震える指を握りしめた。

「なぁ!聞いたんだけど、あいつらスゲェ顔で心臓押さえて死んでたらしいぜ。」

ダメだ、震えるな。